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【ラノベ感想】転生程度で胸の穴は埋まらない (#電撃文庫)/ニテーロン

🌸あらすじ(BOOK☆WALKER引用)

人の渇望(ねがい)が固有の魔法になる異世界。固有魔法を扱い邪神から人類を守護する超越者〈アデプト〉たちには、あらゆる権利が与えられる。
転生したコノエは永い修行の末、遂にその資格を得たのだった。
――惚れ薬〈きんしやくぶつ〉を使うために。
「……惚れ薬があれば、僕でも、誰かの一番になれるんだろうか。」
前世のトラウマから、人を信じられず生きてきたコノエ。そのせいで固有魔法が発現せず、転生しても孤独に苦しんでいた。そんな彼に助けを求めてきたのは、死病に侵された金色の少女で――。
「私、コノエ様の為なら何でもさせて頂きますので!」
これは、渇望〈ねがい〉を持たない白い孤独が、黄金の愛と出会う物語。

🌸感想

最初はくだらない欲望の為に動いてる主人公だな…奴隷ハーレムって…とか思っていましたが…。
アデプトに至る迄に強いられる数多の苦痛。努力を続けなければならぬ、心折れて然るべき厳しい訓練。それを乗り越え手にした力で世界が広がったと思いきやそこに広がるのは救いを求める尽きない嘆き。
アデプトに至る者は少なく、固有魔法の想いの強さ…愛やエゴといった感情の強さが関わるものもある為…おそらくは…。
そんな狭き門を越えた主人公…動き出した物語の先で人々を救い、前世のトラウマによる欠落を埋める自己犠牲を厭わない少女との出会いと時間が、
そして彼に芽生える感情が楽しめる一冊でした。
救いをもとむ声は止まず…彼はこれからも進み続けることになると思いますが、
空白の状態にも関わらず困難を越えた男は大切が生まれたことできっとさらに多くを救う人物になれるのだろうな…
因みに私が一番好きだったのは神様ね。というよりは、神様が居てくれた事とコノエが歩き続けられたその努力の関係性が好きだった。

📚️BOOK☆WALKERリンク🔗

bookwalker.jp

🌸ネタバレ有り感想

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神様が努力を認めてくれて頑張ってるよと言ってくれて自分の努力を認めてあげてと伝えてくる。これほど力になることはないなって思う。救いだし、支えだ。
アデプトの訓練を奴隷ハーレムを惚れ薬で築きたいからとかそんな願望で支えにはならんだろうと。自分の存在を認めてくれて好いてくれて…そんな当たり前の触れ合いが愛が欲しかっただけだろうに…。
彼自身の空虚さ。激情がなかったが故の固有魔法の未発現。彼よりも才あるものは多くいただろう。そんな人たちでも心折れたのだろう。
だけど折れずに頑張れたのは逆に空虚だったからこそ何じゃないかなとも思いましたね…。寧ろ1年耐えた辞めたい…。辞めよう…。神様が認めてくれた…またもう少し頑張ってみよう。このまたもう少しがきっと普通は出来ないんですよね…自分自身が何者かで在りたいという想いの解像度があやふやだったからこそ何だかんだ続けられた部分もあるのかななんて思ったり。
神様がいるから頑張れた。誰かに認めてもらって思われて…潜在的ながら無自覚ながらも神様の存在に彼自身…空虚は支えられていたんじゃないかな…。
それでようやく乗り越えたと思ったら救いを求める声ばかり…
あぁ、こんなにも絶望に満ちた世界なんだなって驚いた。
固有魔法の存在でテルネリカの父や母…兄の活躍を知った時はその愛の大きさに驚いたし、それが貴族としては間違った事で剥奪されるとかまた世界の悲惨さに驚愕。
テルネリカとの交流で生まれた温かな思い。求めたモノ。
金銭の問題が嫌な伏線になって人体提供とか恐ろしすぎる話に発展した時はどうなることかと思ったけれど、コノエが彼女の為に走り出す姿や、彼女への愛が黄金に輝く様子は熱かったですね。
竜も固有魔法使ったり、それが番への愛の重さだったりと敵側にすら感情の重さを入れていたのが好きでしたね。
これからまだ闘いは続くと思うけど頑張って生き延びてたくさんの人を救って幸せになって欲しい。でもこの世界そのものに救いはあるのだろうか…。
そうした意味でも続きが楽しみですね。メロブの冊子の神様へのプレゼントと嬉しそうな神様が可愛い。あれ見せられたら頑張るしか無いよ。
きっと神様にとってもあれだけ才能が無くて長い間諦めずに頑張り続けるコノエは特別だっただろうし、こんな訓練続ける人たちにとってプレゼントを感謝を用意するなんて心の余裕は無さそうだからね。幸せな小話だった。