❀あらすじ(BOOK☆WALKER引用)
勇者によって魔王は討ち倒され、この世界から魔王の脅威はなくなった――だが世界は平穏を手にすることはできなかった。
決戦時の強大な魔力の余波が、人類を侵し滅びをもたらしてしまったのである。
世界の平和と人々の命を守るために尽くした勇者一行の一人・魔法師エルメもその例に漏れず、大切な人を失い、自らの死期もそう遠くないことを悟った。
孤独となり自身の存在意義と未来を見失った彼女は、がむしゃらに王都から飛び出した先で、アンデッドの少年と出会う。
不思議な彼に勇気を貰い、余命わずかな少女と不死の少年は、終わりゆく世界を巡って、幸せな思い出と生きた証を後世に残すことを目指す旅に出る――
❀感想
愛による御伽噺。語り継がれていく物語。
余命わずかな少女と不死の少年という有限と無限の対比の2人の旅路の中で、
芽生え募っていく"愛"という感情の使い方がとても良かったですね。
途方もない喪失と気づきの先で確かに胸に残る思いだけを標に歩み、結末を掴みに行く姿…。理屈じゃない愛という思いが世界を幸いを掴んで魅せる御伽噺が心に残りますね。2人の出会いと積み重ねと喪失の重み、手繰り寄せる覚悟が好きでした。
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❀ネタバレ有り感想
個人的にはエピローグの御伽噺感や魂に刻まれる想いが続いているって感じるのが良かったなとおもうし、何よりも繰り返す世界の中でおそらく特異点だったであろう魔王との相対に辿り着き幸いを掴んでみせたのも良かったなと思いました。最高でしたよね…。
何よりもアンデッドの少年と死を待つ少女が旅をする中で相手への気持ちが次第に大きくなって膨れ上がっていく…そんな感情と執着と愛が繰り返しに気づいてそれを標にあがき続ける主人公の姿はとても良かったと思うし感動した。
気になったのは2人の始まりでいいんだよね?幼少期の所…あそこいる?どう思う?ってのが気になる。いや、御伽噺だから全然有りだとも思うんだよ…村に住んでる少年少女の恋が愛が…全て終わったと思ったら災いで…そこに試練があって…無事幸いにたどり着く…御伽噺だからね〜有りだとも思うんだけどあえて書いたからこの2人の愛に何故この不思議な繰り返しが起きたのかが知りたくなっちゃって…。
何処にでもいる少年だった。大好きな人を見送るしかできなくて、おかえりをしたらさようならもすぐに来てしまった。そんな彼が巨大な愛故に繰り返す…
本としての始まりから2人が重ねてきた時間をみてたからそこでは理解できるんですよね、愛の大きさもだからこその奇跡も試練も。
ただ、幼少期…これが始まりだとしたら少し弱いのかもとか…ても、御伽噺って総じてそういうものでもある気がするから考えすぎなだけって気もしているから表にかかずにこっちだけ。
待ってるんじゃなくて迎えに行って見せなさいよ!とか思っちゃったのよ…それだけ好きなら…でも、魂に想いが刻まれるというのなら、一番古い記憶が一番古いと誰が言えるのだろうか…とも言えるんだよね…記憶に刻まれていた古いだけであって、魂が本質が変わること無く繰り返すのだとしたら…物語に刻まれることのなかった背景が誰も観測していない二人の思いが深く深く結びついていたからとも言える。
そんな風にいつまでも二人の関係について愛について悩まされてる時点で物語に引き込まれてしまってるのだろうなと思います。
何にせよ愛によって長い長い寒さと孤独を見事に歩き抜けて愛する人の元へとたどり着いた…その姿に拍手ですね。